「レ・ミゼラブル」

 小学生の頃、演劇鑑賞会で「ああ無情」をやると聞いた時「ああむじょう? アームジョー? GIジョーの仲間かな?」と思ってしまった、あの古典的な物語ですね。

 たしかジャン・バルジャンって主人公が腹が減って、パンを盗んで捕まって……それが改心する〜みたいな話だったと思うのだけれど。ジャン・ギャバンがやったのをテレビで観た記憶があるのと、元々はミュージカルで、劇団四季がやってた? くらいの予備知識しかありませんでした。

 映画が始まってすぐ、嵐の海に浮かぶ巨大な帆船を、囚人たちが綱を引いて唄いながら引き上げてるオープニングが凄い! 刑務所の囚人たちが如何に過酷な労働を強いられてるか、を表してんだろうけど、迫力あってスペクタクルでしたねぇ。この件をもっと見せて欲しかったくらい。

 って初っ端から大迫力で始まるんだけど、出演者が全て普通に台詞は言わない、何を言うにも歌うんですよねぇこれが……古くは「シェルブールの雨傘」に始まったのかな? 登場人物のセリフが全て歌だというアレです。

 それでもたまーに唄い出しのちょこっとだけ普通に喋ったりするんだけど、全部歌っちゃうってのも落ち着きがない気がしますね、常に騒々しいというか「シェルブール……」の場合はフランス語って普通にしゃべってても歌ってるみたいなので良かったんだけど、マドンナの「エビータ」とか拷問でしたからねぇ「頼む! 頼むから誰か普通に喋ってくれえ!」みたいな。

 あとリアルな芝居なら決して口に出さないであろう心の内を歌で説明してしまうのは、ちょっと興冷めしてしまうところがありました。このパターンに慣れちゃってからは、コレはそういうものだから、ってなりましたけど。

 あと楽曲が全体に騒々しくて、静かでメロディアスな曲が無かったのもちょっと残念だったな。

 とはいえ怒涛の?オープニングの勢いそのままに、ジャン・バルジャンの波乱の半生がアレよアレよと展開していくので一応飽きさせません。後半バルジャンが娘として育てたコゼットに恋人が出来る辺りからは盛り上がってスッゴク面白かった。

 まぁ150年も前に書かれた古典なので。何か展開というかタッチが古い感じがするけれど、重厚なドラマ王道の感動が味わえるのも確かですね。
 ラッセル・クロウが演じたガンコな警察官キャラなんか、古典だから成立する懐かしい感じがしました。

 でも最期に思ったのは、コレはやっぱしミュージカルなんだなぁ……ってことですねぇ。確かに泣けるし感動もしたけれど、舞台で生の役者さんたちが声をそろえて歌った方が、きっと何倍も感動するんだろうなぁ……という感じがしました。



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